一話(1)
「いいことアイリス。どんなに辛くてもすぐカミ頼みに走ったりしてはいけませんよ」 気候の良いうららかな日の午後、中庭で籐の揺り椅子に腰掛けた母は、幼いアイリスによくそう言い聞かせていた。 「どうしてお母さま。カミさまはにんげんの願いを何でもかなえてくれるんでしょう?」 母の膝にすがりついたアイリスが菫色の大きな瞳をぱっちりと開き、無邪気に尋ねる。すると母は決まって急に据わった目つきになり、きっぱ...
くわしくはこちら »一話(2)
「アイリス様、いけませんよ! 王の御前にお出ましになるのでしたらお着替えを……」 「そんなことしてる暇ないの!」 しつこい侍女に振り返って叫んだため、前方不注意になったアイリスは目の前に現れた人物に気付かなかった。前に向き直った途端にその人物の胸に顔から突っ込んでしまう。 「んっぷ」 「これは我が姫。公衆の面前で熱い抱擁とは随分愛の表現を成長させられて……」 「レジー、なんでそんなところに突っ立...
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