五話(1)

アイリスによる〝ザオネイルのおやつ抜き大作戦〟―― 可愛い名前とは裏腹に実際のところ体力勝負なそれは、思いついたその日から開始された。 「ザオネイル様、湯殿の清掃が終了いたしましたが……」 「お、ならひと風呂浴びてくるかな」  丁度千ラン紙幣で扉を開けた参拝者がいるというのに見向きもせず、ふんふんと鼻歌を奏でながら廊下に出てしまうザオネイル。その後を何者かの影が尾行していた。 (私の予想が正しけれ...

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五話(2)

「ふん、追えるものなら追ってきてみろ」  後方のアイリスに捨て台詞を吐くなり、彼は脱衣所に飛び込んでしまった。 「うう!? さ、さすがにこれはっ」  ゆ、と書かれた暖簾の前で急停止し、頬を赤らめて目の前の空間を睨むアイリス。 「もう、ずるいんだから!」  腕を組んで脇の壁に背をつけ、仕方なくザオネイルが出るのを待つことにした。 (まあでも、さすがにお風呂の中に困ってる人はいないだろうし、追うまでも...

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五話(3)

「ふん、追えるものなら追ってきてみろ」  後方のアイリスに捨て台詞を吐くなり、彼は脱衣所に飛び込んでしまった。 「うう!? さ、さすがにこれはっ」  ゆ、と書かれた暖簾の前で急停止し、頬を赤らめて目の前の空間を睨むアイリス。 「もう、ずるいんだから!」  腕を組んで脇の壁に背をつけ、仕方なくザオネイルが出るのを待つことにした。 (まあでも、さすがにお風呂の中に困ってる人はいないだろうし、追うまでも...

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五話(4)

(お母様) いつも慌てて駆けつけ、泣いて苦しがる彼女の背中を良くなるまで撫で続けてくれたのは母だった。父も暇を見つけてやって来ては、胸がスウッとなる甘い薬を匙に取って舐めさせてくれた。苦しいけれど優しい――今となっては切ない思い出だ。 (おかあさま……おとうさま……)  抱きしめてくれる大きな温かい腕にしがみつき、アイリスはまた涙をぽろぽろと零した。  幼い日の光景が頭を掠め、心臓の辺りがキュッと...

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