六話(1)

ちょっとした事件はあったものの、だからといってアイリスVSザオネイルの攻防がそう簡単に終わるわけがない。それどころか二人の闘いは、日を重ねるごとにますます熾烈を極めるものとなっていた。戦いのリングは主に別荘だが、時には温泉街になることもある。  アイリスが作戦を開始してから数えて四日目の今日、ザオネイルはかなり切羽詰ってきた腹を抱えて獲物を求め、温泉街をフラフラと彷徨い歩いていた。ちなみに彼の戦績...

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六話(2)

手の平が痺れる感覚でハッと我に返り、アイリスは痛む右手を慌てて胸に引き寄せた。 (いけない、考えるより先に手が出るなんて) だが殴られた左頬に指を這わせ、何が起こったのか分からないという顔つきをしているザオネイルを見るや、怯む気持ちはすぐに吹き飛ばされてしまう。 「お前……今……俺を殴ったか……?」 「殴ったわよ! 悪い!?」 震え声で怒鳴り、アイリスは菫色の瞳を怒らせてキッとザオネイルを睨みつけ...

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六話(3)

 動揺して反論しかけ、しかし逆効果だと気付いたのか黙り込むザオネイル。一拍置いてから眉をひそめ、「慌ててなどいない」と仏頂面でボソリと言う。 (考えてみればこの人、あの時は一つも得なんてしないのに、私を助けてくれたんだわ。それに落ち着くまでそっとしておいてくれた。私に願いを言わせるチャンスだったのに、ちゃんと乾いた服だって用意してくれて……) 「わからないわ。あなたは傲慢なカミだけど、でも本当は…...

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