七話(1)
パカラパカラと物凄い勢いでやって来て通過していった馬車にザオネイルの姿が掻き消された時、最初アイリスは、何が起こったのか理解することができなかった。 数秒後、馬車の轍の跡に、力なく横たわる灰桜色の髪を見つけて青ざめる。 「……え、なにこれ」 馬車は勢いが猛烈すぎて人を轢いたことに気付かなかったらしく、既に地平の彼方だ。アイリスは慌てて地面に倒れるザオネイルの元へ走り寄り、傍へ座り込んだ。 「...
くわしくはこちら »七話(2)
「ねえザオネイル、じゃあ、私が願えばあなたの傷は治るのね?」 「……馬鹿を言うな。人間がカミのために願うなど聞いたこともない」 目も開けずに彼は面倒くさそうに言った。 「上辺だけ願ったってだめだ。それが本当の願いでなければ、叶えることはできない」 (上辺だけ?) ザオネイルを治したいと思う自分の気持ちは、上辺だけなのだろうか。 もちろん、このまま霧の回廊とかいう場所に運ばせてしまうわけにはいか...
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