八話(1)

(う、うまくいったのかしら……)  両手を胸の前で組み合わせ、どきどきしながらアイリスはザオネイルの目覚めを待っていた。彼が額に触れて何かした感覚はあったが、その後は寝こけてしまっていて具体的に何がどうなっているのかはよくわからない。肘や頬についていた擦り傷はもう大分薄くなっているので、成功だとは思うのだが……  風がそよそよと灰桜色の髪をそよがせている。花びらに似たその色に誘われて、一匹のトンボ...

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八話(2)

「でもやっぱり困るわ。だってこんなにいっぱいいたら、来年もまた幼虫に稲を食べつくされちゃうじゃない?」 「案ずるな、自然界とはうまくできているものだ。ひと所にいれば手狭なのはこいつらも分かっている。元々この近辺に広く住みついていた虫だからな、放っておいても卵を産む前に他国へバラけるだろう。そうすれば来年からはそう大した被害も出ないし、逆に実りが良くなるから養ってやっても釣りが来るぞ」 「そうなの?...

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八話(3)

 きな臭さを感じ取ったアイリスは、思い切ってキラキラ大臣に直接話しかけてみた。 「あのー大臣様、つかぬことをお伺いしますが……ザオネイル様とはどんなご縁で?」 「おお! よくぞ聞いてくださいました! 先日このザオネイル様は、我が国を農業経営の危機から救ってくださったのです!」 「……農業?」  ピクピクッとアイリスの耳が動き、その横でザオネイルの顔が心なしか青褪める。 「ええ。自国の恥をさらすよう...

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