2006年7月

名づけ方のコツ

2006年7月13日(木) 22:01

<実作上のコツ>

今回の実作上のコツは、これまでとはちょっと違う視点でお話をしてみようかと思います。それはキャラクターの名前の付け方について、です。
 キャラクターに個性をつけるためには様々な要素がありますよね。外見、性格、経歴、特技、その他諸々。でも、その中でまず最初に読者の目に入るのは、ほとんどの場合は名前なんです。
 例えば横文字の名前だったら、「ガ行」や「ダ行」の音が入ったごつい名前のキャラクターはやっぱりごつい印象を与えますし、「ラ行」の柔らかい音が入った名前は優雅な印象を与えます。
その通りのキャラクターなら「ああやっぱりな」と読者は安心して読み進めることができますし、逆に名前とはまったく違う雰囲気の人なら意外な気がして、それがまた読者を惹きつける特徴になりますよね。
 でもこの時、気をつけることがあるんです。特にファンタジーの登場人物など外国人風の横文字の名前を付ける時、名前にこだわるあまり自分が思いついた音だけで決めてしまうと困ってしまうことがあるんです。人間の名前とは思えないような音の組み合わせの名前や、長すぎて文章で何度も出てきてしまうと鬱陶しい名前などがそうですね。
 また、日本人風の漢字の名前でも、普通名前には使わないような漢字――悪役だからといって「魔」とか「悪」とか――をつけてしまうのも困りものです。小説ですので「名前に使える漢字は決まっている」という法律に従う必要はないのですが、やっぱりあまりにも人間離れした名前は読者にもあまりよくない印象を与えてしまいます。西尾維新先生のようにそれを一つの味にしてしまっている人もいますが、それはとても難しい技なのです。
 そこでオススメなのが、資料を使う方法です。人名辞典には山のような人名が載っていますし、歴史上の人物から名前を借りてくるのもいい手です(ただ、その場合は二人の人名を組み合わせるなどしたほうがいいですね)。また、外国人風の名前ならインターネット上に「○○人の名前」などといったサイトがけっこうありますので、そういったサイトを探してみるのも良いでしょう。
 名前はキャラクターを彩る重要な個性です。あなたならではのキャラに、相応しい名前をつけてあげてください。

『封神演義』で古代中国的世界観を学ぼう!

2006年7月11日(火) 22:51

<海外ファンタジーから学ぶ>

 『封神演義』はこれまで紹介した『三国志』や『水滸伝』と同じ中国の古典小説の一つですが、以前はあまり知名度が高くありませんでした。ところが、日本でも最近になって、マンガなどの影響によって知名度があがってきました。これまでの作品があくまで歴史小説、戦記小説という印象が強かったのに対し、『封神演義』は仙人が大活躍する大活劇中華ファンタジーとも呼ぶべき作品です。古代中国の世界は仏教、道教、神仙といった様々な思想が複雑に絡み合っているのですが、まずはこの作品でその世界観に触れてみるといいでしょう。
 物語が始まるのは、人界が殷という王朝の末期の時代だった頃のことです。当時の王だった紂王は狐の妖怪である妲己によって堕落し、国土はまさに荒れ果てようとしていました。この人界の混乱にあわせて、仙界では「封神計画」という人界と仙界の混乱をまとめて解決する計画が始まりました。その実行者に選ばれたのがこの物語の主人公・太公望(姜子牙)でした。
 この作品の魅力が、数多く登場する宝貝(パオペエ)とよばれる仙人たちの道具――魔法のアイテムです。人の心を打ち据え、仙人の脳天を砕くという太公望の打神鞭をはじめとして、たやすく人や仙人を倒すことができる強力な武器や、便利な乗り物などのバリエーション豊かな宝貝がこの物語には多数登場します。あなたが物語を作るにあたって、参考になるのではないでしょうか。

原稿を読み直そう!

2006年7月 6日(木) 21:01

<実作上のコツ>

 みなさんは原稿を書き上げたあと、どうしていますか? もしかして、書き終わったことに満足してそのままにしていませんか? 今回は原稿を書くためにパソコンや紙に向かうその前と後にやった方がいいことについてお話しします。それは「見直し」です。
 いまは多くの人がパソコンでワープロソフトを使って原稿を書いていると思いますが、これによって増えてしまったものに漢字の間違いがあります。そう、多くの人が知らず知らずのうちに「誤変換」をしてしまうようになったのですね。キータッチでスイスイ書けるようになった分、誤字や書き間違いなども増えてしまっているように思います。実際に書いている際に完璧に確認している、と思ってはいてもけっこう見落としをしてしまっているものなのです。
 そこで、ご提案です。毎回、原稿に向かう前と、「取りあえず今日はここまで」と書き上げた後に、それまでに書いた分(量が多くて大変なら前回書いた分、その時書いた分だけでも)を見直してみてはいかがでしょう?
 見直す時間はかかってしまいますが、毎回見直していくことで、見つからなかったミスが発見できるかもしれませんし、それに物語に矛盾が見つかってしまうかもしれません。そう、見直しをすることは物語を面白くしていくにも大事なのですよ。
 それと、もう一つ。これは毎回ではなくて、例えば原稿がある程度たまった時などでもいいのですが、音読をしてみるといいでしょう。実際に自分で声に出して読んでみることで、黙読ではわからなかったものもけっこう見つかるものですよ。
 それから、これもたまにでいいのですが、パソコンの画面で見るだけではなく、実際に投稿をする時のようなかたちでプリントアウトしてみるのもオススメです。意外なことに、紙のかたちで見ることで見えてくるものもあるのです。
 つまらない誤変換で物語の意図が変わってしまっては困りますし、誤字脱字発見の読み返しで物語の新たな発見や矛盾点の確認ができるかもしれません。少し時間がかかって面倒かもしれませんが、これも物語をより良くしていくために大事な手間です。ぜひ、読み返しをやってみてください。

『水滸伝』を読んでキャラクターの多様性を学ぼう。

2006年7月 4日(火) 15:53

<海外ファンタジーから学ぶ>

 前回、紹介した『三国志』に次いで日本で親しまれている中国の古典、『水滸伝』。中国の北宋時代末期を舞台に、腐敗しきった国を嫌ってそこからはみだした好漢たちが、梁山泊という水に恵まれた要害を拠点に、国の有様に反旗を翻していく物語である。
 この物語はあくまで史実がベースだった『三国志』と違い、実話の要素が少ない。モチーフとなった事件はあるのだが、それは三十数名での反乱と小規模なものだった。その後物語としての完成度を高める過程で、梁山泊の好漢たちだけで一〇八もの人物が登場する物語へとスケールが大きくなったのである。
 この物語からみなさんに学んでほしいのは、主人公側だけで一〇八人もいるという人物の造形である。この一〇八人という小説の登場人物としては破格な数の彼らをいかに使い分けているのか。是非、みなさんの創作のヒントにしてもらいたい。