八話 (1)

「……佳葉ちゃん、これ、ありがとー……」  きちんと折りたたんだ黄色い帯を差し出した愛鈴を見て、佳葉は思いきり顔をしかめた。 「何なの、あんた? ものっすごく眠そうだけど」 「ちょっと……夕べ、あんまり眠れなくて……」 「あんまりって、いつ寝ついたのよ」 「……明け方、かなぁ」  あれが夢でなければ、もう戻ろうもう戻ろうと思いつつ、結局夜明け間近まで、慧俊の部屋にいてしまったことになるのだが。  ...

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八話 (2)

「……伊福さん、ですか?」  少し背の曲がった老庭師は、愛鈴の顔を見て、それから愛鈴の髪の、おそらく梅の簪を見て、細い目をますます細くした。 「いかにも、儂は伊福だが、お嬢さんが愛鈴さんかね」 「はい。愛鈴です」 「そんなら、太子殿下からの言伝だ。……さすがに今晩は眠かろうから、明日の晩に、だそうだ」 「明日の晩、ですね」  慧俊のほうも、きっと今日は眠いだろう。そう思って、愛鈴は何となく楽しくな...

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