十四話 (1)

「――次」  兵部の役人が退室して、入れ替わりに紙束を抱えた青年が、慧俊の執務室に入ってきた。机と椅子と書棚しかない、簡素な部屋である。 「戸部郎中、温慈雲、参上仕りました」 「御苦労」 「戌州と辰州の刺史から、連名で臨時の税徴収についての嘆願書が届いてますが」 「名目は何だ」 「街道の整備だそうです」  差し出された書類に素早く目を通して、それを傍らの文箱に入れた。 「むやみに追加徴収するわけに...

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十四話 (2)

 退室しようとして、慈雲は振り向いた。 「……三年前、貴方の長旅に同行したのは、俺の親父でしたが」  慧俊が、顔を上げた。 「正直、貴方が帝位を継ぐことに、それまでは不安があったそうです。勉強はできるし人柄も良いが、人を従えて国を動かすということを、どこまで理解しているのかと」 「……」 「ところが殿下は、ある日いきなり、その目でこの国を見てくると言い出した。帝はすでに、病がちだった。……自分が...

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