二十八話(1)

慧俊の危機を救ったのが吏部尚書の娘、曹褒姫だということは、宮妓らの早耳とお喋りで、その日のうちに、あっというまに教坊に広まった。  妓女の噂はとかく大きくなりがちで、今度もやはり、曹褒姫は太子殿下の命の恩人なのだから、きっと帝になったあかつきには、后に迎えるのだろうというところまで話は飛び、当然愛鈴の耳にも入ったが、愛鈴はお喋りの輪に加わることはなく、ただじっと、自分の部屋で物思いにふけっていた。...

くわしくはこちら… »

二十八話(2)

「愛鈴」  佳葉の声に、のろのろと顔を上げる。いつのまにか、窓辺に突っ伏していた。 「寝てたの?」 「……ううん」 「泣いてた?」 「……泣いてないよ」 「嘘」  佳葉はやさしく苦笑して、部屋に入ってきた。 「落ちこんだら、泣いていいのよ。……ただ、あたし、ちょっと気になることがあってね」 「……気になること?」 「そう」  佳葉は愛鈴の寝台に腰掛け、自分の膝に頬杖をついた。 「あたし思ったの。本...

くわしくはこちら… »