七話(1)
わかってはいる、のだ。 別に女が嫌いなわけではない。ちょっと垣間見て、悪くはなさそうだと思った女もいる。だが、世の中に倣って恋歌を贈ると、間違いなく笑われたり呆れられたりするので、そこでもう、気持ちが萎えてしまう。 ……どうせ俺は、恋に向いてないんだ。 歌を詠むのが苦手だというのもあるが、そもそも世間の男どもが、話したこともない、それどころか会ったことも、ろくに顔を見たこともない女に、どう...
くわしくはこちら »七話(2)
……桜の、雨だ。 まるで花が、天から降り注ぐようだった。雅遠は二歩、三歩と枝垂れ桜に近づき、しばし呆然と桜を見上げていた。 見上げていて――それで、しばらく気づかなかった。 目の隅に映った、白と赤花の、桜襲の衣の色に。 「……」 強い風が吹き、桜の幕を翻す。 女がいた。 目が合った。 黒目勝ちな瞳が、どこかぼんやりと、こちらを見ていた。 まさかこんな明るい日の下で若い女に出会うと...
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